目の前にはほの暗い月明かりに照らされた寸分の狂いもなく、狂いそうなほど美しい顔。
白い肌に黒い髪、目は何を考えているのか。
わたしには一生分かりそうもない。
朝光くんが薄いくちびるをそっと開いた瞬間、
「朝光さま、例のものをお届けにまいりました」
マイク越しにここまで響いてくる井口さんの声。
「……ごめん、ちょっと行ってくる」
「はい、」
なぜだか顔を直視できなくて、俯いたまま答えてしまった。
朝光くんと井口さんの話し合う声が聞こえてから数分して、廊下が騒がしくなる。
その中には朝光くんの声も。
「ん、そう。全部そこの部屋」
な、なにをしているんだろうか……。
そっとドアから首を出して廊下を見ると、机やカーペットなどの家具がひとつの部屋に入れられていた。



