なのに、2秒待っても3秒待っても、痛みは全く訪れなかった。
代わりに頬に暖かい温もりが一瞬伝わったあと、全身にそれが移動して。
優しく頬を撫でられたあとに、抱きしめられたんだと理解する。
「……そんな、震えないで。俺は咲良を傷つけたりしないから」
ぎゅう……と控えめに朝光くんが私を抱きしめる腕に力が籠った。
人って、こんなに暖かいんだ……。
全身に朝光くんの暖かい体温が伝わってきて、凍っていた心が溶かされていく感覚がする。
朝光くんの言葉の一つ一つが脳に直接響いて、気づいたらわたしも朝光くんの背中に腕を回していた。
朝光くんは身長が高いから、胸に顔を密着させるとふわ、と香るホワイトムスクの匂い。



