「……井口さん、ありがとうございます」
「はい。これが使用人の勤めなので大丈夫です。それではお乗り下さい」
おそるおそる車に乗り込むと、ふわふわな椅子。
感動して思わず声が出そうになるくらい。
こ、こんなに乗り心地の良い椅子は初めて……!
車の中に響き渡るジャズも高級感を漂わせていてドキドキしてしまう。
朝光くん、どうして所有物であり下僕の私にここまでしてくれるんだろう。
迎えにこさせてくれたり、わざわざ凪くんたちを紹介してくれたり、ご飯を食べさせてくれたり。
感謝してもしきれないのはもちろんだけど、疑問だけが残ってしまう。
……ううん、きっと王者の''気まぐれ''だよね。



