「麗華ー?」
弘樹くんの声がして「はーい!」と甘い声を出した麗華。
「いまどこに寝泊まりしてるのか知らないけど、土下座したらお母さんたちに頼んで実家帰らせてあげるからね♡
実家、なんて。
帰れるわけがない。あんなところにいるなら、死んだ方がマシだ。
だから私はなんと思われていても、朝光くんの家に住まわせてもらうしかない。
ドンッとわざとらしく肩をぶつけて麗華は反対方向へ走っていった。
心が弱りきっていた私はよろめいてしまって、転ぶのこそは避けたものの、ポケットからはなにかが落ちてしまった。
「……あ」
そこにあったのは、朝光くんが昼休みに握らせてくれた''黒羽家''の家紋。
なんというか、パスのようにしっかりとした作り。



