最強総長は虐げられた姫が可愛くて仕方ないらしい。



本当に私の不幸が楽しいんだって感じさせられる、そんな笑い。

もう答える気力もなくて、靴をさっさと履いてのろのろと出ていく。


それなのに、足音とともに後ろからまた「お姉ちゃんっ」っていう声が聞こえてきて、耳を塞ぎたくなった。



「……なに、」


「ふふ、そんなに怖い声ださないでよ。あのねっ、今日クラスの女の子たちがお姉ちゃんが黒羽さまと話してたって噂してたのーー」




あくまで麗華の口は笑っていた、けど。


ほんとにそれは『笑い』と言っていいのか悩むほどに、形だけのものだった。



「……へえ、変な噂、だね」



この場でなんて答えればいいのかなんて、きっと誰でも分かる。
明らかに麗華は私が『黒羽朝光さま』と喋っていることを気に入っていない。