そこにいたのは、弘樹くんと麗華だった。
今日、わたしは弘樹くんの存在を極力感じないようにすごしてた。
声とかで学校に来ていることは分かっていたけど、どうしても苦しさが舞い戻ってきてしまうから。
それなのに、今あってしまうなんて……。
しかも麗華といることがさらに気まずい。
楽しそうに喋っている2人。
そこに一応元カノである私が入っていくなんてできるわけがないし、したくもない。
もう弘樹くんのことはなんとも思ってないんだから。
ただの''妹の彼氏''。
硬く目をつぶって遠回りで昇降口へ行こうとする。
ガチャンッ
「……へ?」
何が起きたか分からず、一度つぶった目を開けると、
掃除用の雑巾がかけられているラックが派手に倒れて、雑巾もちらばっていた。