「帰ったら敬語使った分キスするから」


「えぇっ!?ど、どーゆー、」


「ほら、授業始まるよ」


急かされて混乱したまま階段を駆け下りて教室へ向かおうとすると、最後にぱし、と腕を掴まれて何か紙を握らされた。


「これ、黒羽家の家紋だからこのマークが書いてあったら安全だと思って」


「っ、え?、」


走りかけていた私はろくな返事も出来ずに、もう見えなくなった凪くんたちの背中を追いかけた。