「やっとできたー!」
「やっとだね、咲良」
ここ何ヶ月も時間を費やして作った手編みのマフラーを前に広げてみる。
黒色1色を使ったシンプルで無駄のないデザイン。男子がよくつけているようなマフラー。
私は今日、このマフラーを彼氏の弘樹くんにあげる。手作りだからお店のものみたいにキレイではないかもしれないけど、精一杯心を込めて作ったつもり。
「ななちゃんほんとにありがとう……!」
「あたしはこーゆーの趣味だから全然大丈夫だよ。それより咲良の不器用さでマフラーができたことに感動してる」
「あ、はは。それについては本当に申し訳ないです」
ここ数ヶ月、放課後や休日に時間を割いてくれたのは親友のななちゃん。昔から仲がよくて大好きな幼馴染。