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その日の帰り道。

「ねえ、空って青沢先輩と仲いいの?」
「え……?」
アユちゃんからの、予想外の質問。

「今日、自販機のところで話してなかった? 仲よさそうに。」

見られてたんだ……ううん、べつにそれでいいはずでしょ?
だって、先輩とわたしは友だちなんだから。

だけど、アユちゃんの目がこわい。

「いつ、仲よくなったの?」
わたしは首を横にふる。

「仲よくなんかないよ。さっきは……えっと、自販機の前でハンカチおとしちゃって、ひろってもらって……」

その言葉に、アユちゃんの口元がゆるむ。

「だよね。空と青沢先輩なんておかしいと思った」

アユちゃんが「ダメ」って言ってる。

〝あんたなんかが、宙先輩みたいに目立つ人の横にならぶなんて〟って。