この配達員さんはもしかして魔法を使えない人…?

ううん、
そんなわけないよね。

エーテル国で魔法が使えない人間なんか、たぶん私くらいだ。



「…あの、もう行ってもらって大丈夫です」


「……ああ、では失礼します」



軽くあたまを下げた男性デリバリーさん、スタスタと背中を向けて行った。

あまり見ない顔のようで、ルス先輩もハオさんも首を傾けている。


今のひと、ちょっとだけ私を見てた…?
気のせいかな…?


目深にかぶられた帽子のおかげで顔立ちも表情も人相も、なにひとつ見えなかったけれど…。



「…はい、これ江架にあげる」


「わ、ありがとうアレフくんっ」


「ちょっとちょっとルス、アレフがアネモス以外に譲ったなんて初めてじゃない?なにこれ、年下組超かわいいんだけど」


「…アレフ、江架は僕の相棒ってことだけは忘れないよーにね」



初めての場所で過ごしたお昼休み。

おばあちゃん以外の人と一緒に食べた、初めてのお弁当。


Sクラスの特待生メンバーと一緒に囲んだ、お昼ごはん。