八神 江架(やがみ えか)、16歳の朝は常にユーウツだ。



「ねえ見てっ!あたし昨日徹夜で新しい魔法を出せるようになったの!」


「わっ!ちょっと危ないでしょ!そんなに勢いよく吹かせたらパンツ見えちゃう!」


「ごめーんっ!でもすごいでしょ!?こんなに大きな風を起こせるようになっちゃった!」


「そんなの言ったら私だって、かすり傷程度なら3分かからず治せちゃうもの!」



もし魔法が使えるようになったら。

たくさんたくさんやってみたいことがある。


そうだなあ、まずは周りの音をいっさい聞こえなくさせるように耳封じの魔法とか。

それか、とりあえず床抜けの魔法とか。



「ふふっ、それに比べて相変わらず、魔力開花すらできないなんてね~」


「16歳にもなってちょー恥ずかしーい!それでこの学校に通ってるって、詐欺みたいなものじゃない?」


「言えてる~。そんな優等生のふりして分厚い魔法書ばかり読みあさったって、どっちにしろ才能がないんだから意味ないよー?」


「きゃははっ。あまり言わないでおいてあげよ?あれでもガリ勉メガネちゃんは頑張ってるんだから」