いつも蚊の鳴くような声しか出ないわたしも、萌ちゃんと話しているときは、引っ張られて、やや声が大きくなってる気がする。

 性格が正反対のわたしたちが仲良しなのを、みんなは不思議がってる。

 小学校の六年間、それから中学に上がってからも、ずっと同じクラス。家も近所。

 そういった縁もあるけれど、不思議なほど馬が合うんだよね。

 ようやく笑いのおさまった萌ちゃんは、大きく息を吐いて、

「ホントもったいないよね~。冗談ぬきで、芽衣はプロの歌手になれると思ってるんだけど……」

「そんなの無理だよ! プロは人前で歌わなきゃいけないでしょ。わたしは……」


 口ごもったわたしの後を引きついで、萌ちゃんが言う。


「あがり症だって言うんでしょ?」

「うん……」


 昔からそうなんだ。

 こればっかりは、どうしようもない。

 人見知りが激しく、引っ込み思案(じあん)なわたしは、人に注目されるのが大の苦手。

 教室で先生に当てられようものなら、心臓バクバク!

 人前で何か発言しなきゃいけないとなると、顔は真っ赤になり、手足ばかりか、声もふるえてしまう。

 そんな調子だから、人前で歌うなんて、もってのほかだ。