「ふーん。どういう経緯でそうなったか知らないけど、一応、わたしたちはライバルってことになるわね」

「えっ……?」

「わたしたちも出場するのよ」


 乙葉さんのうしろにいた水野さん、根本さんが一歩前に出る。


「わたしたち三人でダンスするの。青春を踊りで表現しようと思ってね。もちろん優勝をねらってるわ」


 得意げな表情になった乙葉さんが、問いかけてくる。


「……で、アナタと花宮くんは何をするの?」

「えっと……」

「歌うのよ。芽衣は、めっちゃ歌うまいから、愛華たちには勝ち目ないわよ」


 言いよどむわたしにかわって答えた萌ちゃんが、胸を張る。


「え……歌……?」


 きょとんとした乙葉さんは、すぐにあざけるような表情になった。


「わたしの記憶が正しければ、音楽の歌唱テストのとき、乙葉さんの歌は(ひど)かった記憶があるんだけど……」


 乙葉さんの指摘に、水野さんたちが、どっと笑った。

 わたしの胸のなかで、恥ずかしさと悔しさが(うず)をまく。


「ちょっと! なに笑ってんのよ! あれは緊張しただけよ! 芽衣はホントに上手いんだからね!」


 怒った萌ちゃんがわたしをかばってくれているけれど、乙葉さんは冷静に矛盾点をついてくる。