イヤな予感は的中してしまった。

 次の日。

 わたしと花宮くんがアピールコンテストに出るってこと、学校中に知れわたっていたんだ。聞き耳を立てていた子らが、言いふらしたんだと思う。


「いや~、すごいね、芽衣。みんな、アンタのこと噂してるわよ」


 一限目のあとの休み時間――。

 いつものように、わたしの席までやってきた萌ちゃんが、(なか)ばあきれたように言う。


「うぅ……それもこれも、花宮くんのせいだよ……」


 一日たって、冷静になると。

 とんでもないことを引き受けてしまったと、すでに後悔におそわれていた。

 わたしが、市民ホールの舞台に立って歌うなんて!

 昨日のわたしは、明らかにどうかしてた!

 マイペースで、強引で、先生相手にも強気な花宮くんに引っ張られてしまったんだ!


「それにしても……芽衣が花宮くんとアピールコンテストに出るなんてねぇ。なによ、この急展開はっ! 面白すぎるでしょ!」


 明らかに、楽しんでいる様子の萌ちゃん。


他人事(ひとごと)だと思って~。……ああ、どうしよう……? 昨日のわたしを全力で引きとめたい!」

「もう遅いってば。乾センセにタンカきったんだから。覚悟きめるしかないよ?」

「うぅ……」


 頭を抱えるわたし。

 目立ちたくないのに、注目のマトになってしまった。