これに花宮くん、出るんだ?

 それをなぜわたしに教えるのか、イマイチわからないけれど。


「おれはこれに出て、『クスノキ伐採に反対だ』ってことを訴えようと思ってんだ。コンテスト本番は市民ホールでやるから、たくさんの人に見てもらえるしさ、優勝者の発表内容は庄納テレビで放送されるって書いてる」


 庄納テレビは、地元のローカル放送局だ。

 花宮くんも、クスノキ伐採の話に心を痛めていたんだね。実際に、こうして行動に移すなんて、ソンケ―する。


「すごい……。イイと思います!」

「だろ? あと、ここ見てみな」


 花宮くんが指で示したところを見ると。


「えっと……優勝者には、ナリモノイリーズの動画に出演していただきます……? えっ、すごい!」


 これには、わたしもテンションが爆上がりした。

 ナリモノイリーズは、庄納市出身の人気動画配信者だ。


「スゲーだろ!? ナリモノイリーズの動画でアピールすりゃ、全国から応援の声があつまるぜ」


 花宮くん、そこまで考えてるんだ!


「わたし、花宮くんのこと、応援しますね」


 うれしくなって、にっこりと言うと、花宮くんは首をふって、

「いや、応援じゃなくてさ、いっしょに出てくれ」

「…………」

「咲真が歌ってくれりゃ、優勝まちがいなし!」

「え……?」