だけど黒瀬くんの意に反して、抱き合った私たちを、クラスの皆は再び注目した。

「キャー!」の声と一緒に、教室の中を、たくさんのハートが飛び交っている。



「黒瀬くん、だ、大丈夫……?」

「なわけあるか。よし……


逃げるぞ」



皆からの視線が、あまりにも熱くて。

これ以上は耐えられそうになかった私たちは、黒瀬くんに手を引っ張ってもらい、教室を後にした。



「あー! 感動的な最後がー!」
「見せてくれたっていいじゃん、ケチー!」



教室から、みんなの声が聞こえる。

すると黒瀬くんは、



「誰が見せるか、もったいない」と。



ケラケラ笑いながら、まだ少し赤い顔のまま、私と繋ぐ手に力を込めた。