ウソの魔法に、君とかかる (短)


「暮石……ここ、一応教室で、みんなが見てるんだけど」

「うっ……大好きぃ~……」

「もう、分かったから……っ」



どうしようか悩む黒瀬くんに、近くにいた男子が「ほらよ」とポケットティッシュを渡す。

だけど、黒瀬くんは……受け取らなかった。



「彼女がないてんのに、涙もふいてやらねーのー? はくじょー」
「でも結局”フリ”なら、彼女じゃないよね?」
「でも暮石さん”大好き”って……」
「えぇ、どっちどっち!」



クラス皆の声が聞こえる。

ヒソヒソじゃなくて、まるで、私たちに答えを求めるように。


すると、黒瀬くんは――



「暮石。手、どけろ」

「え?」



顔から手をどける。

その瞬間に、体が、大きく傾いた。

そして感じる、自分以外の体温。


ギュッ



「涙の量すごいし、俺の服で拭けば?」

「っ!」