ウソの魔法に、君とかかる (短)


「日比谷の罠だろうって、分かってたんだ。本当は」

「え?」

「だって昨日の今日で、花崎が暮石に告白って不自然すぎるし。日比谷たちもニヤニヤしてたし、罠以外考えられないなって」

「えぇ!?」



言ってくれたらよかったのに!

それに、罠って気づいてたなら、彼氏彼女のフリって事をばらさなくても良かったじゃん!


すると私の思ってることが分かったのか「でもなぁ」と。

黒瀬くんが、眉を下げて笑った。



「暮石は、花崎が好きだろ? その花崎からの告白……もしも罠じゃなくて本当だったら、二人は無事に付き合う事ができるわけだ」

「え……」

「絶対に罠だって分かってた。だけど……”もしも”の中に、花崎の本音があったらなって。それで暮石が幸せそうな顔で笑ってくれたらなって……そんな事を思ったんだよ」

「黒瀬くん……」



また、涙が流れる。


花崎くんの告白が、もしも罠じゃなかったら――って。

黒瀬くんは、望みの薄い方に賭けてくれた。

私の幸せを願って。
自分がワルモノになってまで。


もう、そんなの……



「ごめん、大好き……っ」

「っ!」



両手で顔をおおう。

さっきよりも大量に流れる涙を見て、黒瀬くんは「おぉ!?」とビックリして声を上げた。