「って事でだな。後は両想いのお二人さん同士、ごゆっくり」
「ちょっと黒瀬、」
「邪魔ものは消えるから。じゃ、ばいばーい」
花崎くんの静止をものともせず、黒瀬くんは行ってしまう。
「……っ」
追いかけなくちゃ。
早く、黒瀬くんの所へ――!
だけど。
パシッ
「行っちゃダメだよ、暮石さん」
「え……?」
黒瀬くんに伸ばした私の手をつかむ、花崎くん。
いつもとは違って、少し怖い顔をしている。
「黒瀬は、暮石さんを脅してたんでしょ? なら、もう近づかない方がいい。また暮石さんが傷つくだけだから」
「わ、私は傷ついてなんか……っ」
むしろ、黒瀬くんが私を励ましてくれた。
黒瀬くんがいてくれなきゃ……私は今日、学校に来ることも出来なかった。
「黒瀬くんは、そんな人じゃないっ!」
「あ、暮石さん!」
花崎くんにつかまれた腕を振りほどく。
ついさっき触れていたのは花崎くんだったのに、とんっと。当たったか当たらなかったかくらいにふれられた黒瀬くんの腕の感触の方を、ハッキリ覚えている。
そっか、私……。
私の心の中にいるのは、もう花崎くんじゃなくて、
黒瀬くんなんだ。



