「黒瀬くんは、優しいっていうか……。こんな私にも、手を貸してくれる親切な人っていうか……」



すると、私を囲む女子たちのほっぺが、ポッと赤くそまる。

そして「いーなぁ」とか、「私もいつか」なんて声が聞こえた。



「なーんだ、本当にラブラブじゃん~」
「正直、うたがってたからさぁ」


ドキッ


「でも”手を貸してくれる”ってなに?」


ドキドキッ



しまった、つい、あわてて……。
なんとか、ごまかさないと!



「手を貸してくれるっていうのは……手を繋ぐこと、かな……?」



苦し紛れに説明すると、皆がまた「い~なぁ」と。ほぅ、と息をついた。



「そういや、さっきも繋いでたもんねぇ」
「甘すぎてうらやましい~!」


「あ、あはは……」



な、なんとかバレずにすんだみたい。


焦りでジワリと浮かんだ手汗を、急いでハンカチで拭く。

その時。ちょうどチャイムが鳴り、担任が入って来た。