「じゃ、俺がもらう」

「――……え?」



いきなり腕を掴まれ、立ち上がる。

驚いて見上げると、そこには……



「く、黒瀬くん……?」



今日、落としたノートを拾ってくれた黒瀬くんが、まるで支えてくれるように、私の隣に立っていた。




「え……? 黒瀬くん? 何やってるの?」
「そうだよ。それに、さっき何て言った?」
「暮石さんを”もらう”?」



女子グループが、口々にささやく。

反対に、今まで喋っていた恭子ちゃんは、まるで鬼のような顔をして、私を睨んでいた。


だけど、そんな睨みにも負けない目力で、黒瀬くんは言い返す。