「お。ちょうど唯月からグループに連絡きたよ。ちょっと遅れるっぽいね。岸は〜…アイツ大体遅刻グセあるからなぁ。気長に待つしかないかもね。そういえば、俺、制服以外の御井ちゃん、初めて見たわ。…えっと、シンプルでいいね」
ニコッと微笑みながらそう言う鈴城くん。
お世辞にもオシャレとは言えない私服を見られ、気まずい私は「動きやすさ重視なの…」と言い訳をしてしまう。
「そうなんだ。でも御井ちゃん、小柄で可愛い感じだからあの子みたいなフリルのワンピースとか似合いそうだけどね」
"あの子"と言われ、鈴城くんの視線の先をたどると、下がフリルになっている白い綺麗めのワンピースに身を包んだ女の子の姿が目に入ってきた。
あ、あの子!?いや、あれはどう考えても私が着こなせる感じじゃないって…。
「…いや、あの服は着てる本人が可愛いからだと思う。私じゃ絶対似合わないよ」
ブンブンと大きく首を横に振り、鈴城くんの言葉を否定する。
「そんなことないって。俺、人の服装とか髪型とかコーディネートするの得意なんだ。そうだ…。御井ちゃん、ちょっとこっち。ついてきて」
ガシッと私の手首を掴んで、ベンチから立たせた鈴城くんは戸惑う私をよそにズンズンと歩みを進める。
「え!?鈴城くん!真田くんと岸くん待っとかないと…」
「いいって。アイツらそもそも遅刻してるわけだし。ちょっとくらい待たせたって問題ないから」