「ただいま」
「悠花、お帰りなさい。今日、確か期末テストの返却日だったわよね?テストはどうだったの?見せてちょうだい」
「…はい。お母さん」
学校から帰った私が玄関を開けた瞬間、目の前に立っていたのは母親の彩子(さいこ)。
ニッコリと優しげな笑みを浮かべつつ、私に向かって手を伸ばす母に対して、私は素直にスクールバッグから取り出したテスト用紙を差し出した。
「あら?英語が85点…。他の教科より点数が悪いわね。中間テストの時からあまり変わってないみたいだし…。悠花いい?今からしっかり勉強して良い大学に入って、お父さんみたいな立派なお医者さんになるんだから頑張らないと…!」
私に向かって、熱弁する母の言葉に私はコクリと頷くと。
「…うん。次のテストはもっと頑張るね。部屋で復習してくる」
そう声をかけた。
「そうね。テストは早めに復習して次は同じミスをしないようにしないとだわ。18時からご飯だから、そのくらいまでには、1階におりていらっしゃいね」
テストを返し、台所へと戻っていく母を横目に私は、2階にある自分の部屋に入ると小さくため息をこぼす。
お母さん、やっぱり英語の点数気にしてたな…。
文法の確認もうちょっとしとけば間違わなかったのに。ハァ…これ以上家庭教師増やさないといいけど。
勉強机にバッグを置き、英語の教科書とノートを取り出した私は制服を脱ぐと、部屋着に着替えた。