聞き覚えのある声に私は、恐る恐る後ろを振り返って目を見開く。

「さ、真田くん、何で図書室に?」

「ん?御井に用事があったから探してたんだ。で、俺より誰が面倒なの?」

真田くんは、「よいしょ」と私の目の前の席に腰を下ろし、フッと不敵に微笑んだ。

ドキッ。

なんだかいたずらっ子のような彼の瞳に、思わず胸が高鳴る。

…顔が良いって本当に得だな。

「えっと…」

答えにくい質問に私がどう答えようか悩んでいると。

「ハハッ。ゴメン、ちょっと意地悪な質問したね。えーっと…宙はさ。御井と仲良くなりたいから話しかけてるだけなんだ。だから、あんまり嫌いにならないでやって?」

私が口に出していた"ヤツ"について、最初から誰なのか気づいていたらしい真田くんは、そう言って、私に鈴城くんのフォローを入れてくる。

「仲良く…」

「そ。まぁ、仲良くしたいのは、俺も一緒なんだけどね」

ん?今なんて…?

サラッと意味深なセリフを言ってのけた真田くんに、私はキョトンとした表情を浮かべた。