休み時間毎にイライラが募る私。

そんな私の状況を知ってか知らずか、2人は飽きもせず話しかけてくるクラスメイトに、にこやかに対応している。

それにしても、真田くんはともかく…。
たぶん、鈴城くんは私がイライラしていることに確実に気づいていると思う。

だって、時々後ろから視線を感じるもん。

明日からは、雑音をシャットアウトするために、イヤホンか耳栓でも持ってこようと心に決め、英語の教科書を食い入るように見つめていると。

「ねぇ、御井ちゃんもよかったら今日の放課後、皆で遊びに行かない?」

ふいに、鈴城くんがそう声をかけてくるものだから私は目が点になる。

…はい?

「…え?宙、御井さんと仲良かったっけ?」

「えっと…。御井さん、宙もこう言ってるしよかったら一緒にどうかな…?」

突然の鈴城くんの提案に戸惑ったのは私だけじゃない。
彼を遊びに誘っていた女子生徒達も困ったように互いを見つめている。

性格悪いなぁ…。

「鈴城くん。誘ってくれてありがとう。でも、今日は塾があるから、ごめんなさい」

くるりと後ろを振り返り、爽やかに微笑んでいる彼に向かって、私もとびきりの笑顔で答えた。

「そっか。残念だけど塾ならしょうがないよね…!ね、宙」

「うんうん。御井さんはまた今度空いてる時に誘おうよ!」

ホッとしたような表情を浮かべる彼女たち。

私が彼女たちの立場でもきっと、同じ反応をするだろう。

どう考えても、ほとんど話したことがないクラスメイトと遊ぶなんて、お互い気まずすぎるもの。

「そっか。残念だな〜。御井ちゃんともっと仲良くなりたかったのに」

なんて口に出しながらも、全然残念そうじゃない彼に私は内心ため息をこぼす。

そんな私達のやり取り。

まさか、隣の席でコッソリと真田くんが聞き耳を立てていたことをこの時の私は知る由もなかったー…。