「なあ……、一条のやつ…、すげえ機嫌悪くね……?」


「ああ…、ちょっとぶつかっただけでも小指くらいは折られそうだよな…」


「おい怖ぇーよ……、そんなん言われたら一条の前通れねえんだけどオレ…」



一条くんに対するヒソヒソ話を聞くたびに、なぜか私が命を狙われているような気持ちになる。


わかる……?
やっぱりわかるよね……?

ちなみに犬丸はお隣さんだから、みんなより感じてるのよ。



「やっぱり一条くんって暁のメンバーなんじゃないの……?」


「みんな噂してるよね…、もしそうだったらスゴい……」


「沙蘭くんも怪しくない?隣クラスの子たちも言ってたよ」



犬丸、耳をふさぐ。


それからの犬丸の毎日は、とにかく逃げに逃げていた。

一条くんがどんなに小さなことでも話しかけてくる前には、ピューンと去る。