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 侍女であるサリーと引き離されてから、数日が経過した。

 どんな事情があろうとも皇帝のお出迎え、お見送りの場の欠席は許されない。フランはきちんと勤めを果たしていたが、当然ながらあの日から皇帝の声がかかることはなく、視線のひとつも向けられはしなかった。

 やはり勘違いだったと令嬢たちが矛先を納めてくれればいいのだが、一度向けられた不満のはけ口は、すんなり解消には至らない。

(はぁ……これからどうしよう)

 身の回りのことを自分でするのは問題ないのだが、来たばかりで勝手がわからないことが多く、ほとほと困り果てていた。
 カーネリアたちが手を回しているのか、侍女は皆フランを見ると逃げるように去ってしまうし、部屋に届けられる食事も、量が少なかったり、味がおかしかったりする。食べると具合が悪くなってしまうので、満足に口にすることができないのだ。

(お腹がすいたわ……)

 昼も過ぎたばかりだというのに、なるべく余計なエネルギーを使わないようにしようと、部屋にこもりベッドに寝転がっている。こんな目に遭う元凶を作った皇帝のことを、ほんのり恨めしく思った。

 令嬢たちはフランが泣いて逃げだすのを待っているのだろうが、こればかりは個人の意思ではどうにもならない。現状、自分の意志で帰国することが許される立場ではないのだから。

 話しかける相手もおらず、嫌がらせをされる毎日は、じわじわと心を苛んだ。
 このまま餓死するのだろうかと、糖分不足によりぼうっとする頭で考えていると、ふいに天井が遠のいた気がして、目を瞬いた。