真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇

「古びたままの言葉では、こまやかにお考えを巡らせる陛下のお気持ちを表すのに、ふさわしくないときもあろうかと考えます」


陛下は、物事を深くお考えになる。

そうして、そのとき一番ふさわしいだろう言葉を慎重に選び、できるだけ周囲と相談して、独りよがりにならないように気をつけてお話になる。


わたしはこの方の、そういう丁寧でこまやかなところが、上に立つ者として得難く素晴らしいと思う。


腰を折って頭を下げると、「あなたのそういう熱心なところ、すてきだと思うわ」と微笑みが降ってきた。

このお方は、了承の仕方まで穏やかでいらっしゃる。


「陛下がお認めくださるからこそです。今後とも、微力を尽くしたいと存じます」

「ええ、よろしくお願いするわね。分かりました。どなたか知識人をつけるわ。わたくしのために学びたいという臣下の気持ちと能力を蔑ろにするわけにはいかないもの」

「ありがとう存じます」


わたしが臣下として答えたから、陛下も女王として応えようという、前向きな回答。

それだけで、この方の治世よ長く続けと願ってしまう。


「ちょうど息子の教師を探していたの。息子の講義が終わったら、あなたにも講義をしてくれるような人を探してみるわ」

「よろしくお願いいたします」


王子殿下は幼い子どもがかかる病を一通り乗り越え、すくすくと成長されている。


殿下につける教師ならば男性になる。


……よいお方が先生になってくださるといいなあ、と思った。いえ、陛下が選択を誤るとは思えないのだけれど。