真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇

「ひどいな、笑わなくてもいいじゃないか。きみならこういうとき、なんて始める?」

「言い訳の仕方ですか?」


言い訳を聞かされるはずの本人に何を質問しているの、このひとは。やっぱりおかしなひと。


「そうですね、わたしはやはり、弁解は真摯であるべきと存じます」

「そうだな。真摯でありたいと思う」

「ですから、わたしなら、『わたしが以前から抱えている事実が、あなたへの態度の、もっともな言い訳になるよう望んでおります。』とでも書きます」

「ではそうしよう。私が以前から抱えている事実が、きみへの態度の、もっともな言い訳になるよう望んでいる」

「えっ」


そのままそっくり繰り返すと思っていなくて、思わずまじまじとヘイゼルの瞳を見つめてしまった。


対してうつくしい男は、窓明かりに顔半分を照らされながら、固まるこちらを不思議そうに見ている。


「言い方はなんでもいいんだが、きみがよいと思う言葉で伝えることが肝要だろう」

「そうでしょうか?」

「そうだとも」


何度見つめ直してみても、メルバーン卿は至極真面目な様子をしている。


「誤解を招きたくないのでね。そのためには言葉を尽くすことしか思いつかない。私は、きみほど言葉選びがうまくないんだ」


なんだか褒められているらしい。よく分からないけれど。