真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇

「口頭で内容を聞いたことはありましたが、こうして文章になっていると格別ですね」


これは、もらった相手は心躍るでしょうね。まして紙や装飾にもこだわっているとなれば、なおさら。

陛下が心打たれた意味が、侍女たちがあなたに頼む意味が、よく分かります。


「あなたの筆跡は、うつくしいですね」

「女王陛下の薔薇ですので」


言外に、あなたの評価はいりませんと示す。わたしを評価するのは、女王陛下ただおひとりである。


「失敬、言い直しましょう。あなたの仕事ぶりを、好ましく思います」

「ありがとう存じます」


感想なら素直に受け取れる。


筆跡はとても頑張ってうつくしく書いているのだから、うつくしくなければ仕事にならない。泣いてしまう。


「薔薇のき……ジュディス文官、読み書きは誰に習ったんです?」


薔薇のきみと言いかけたというか、ほとんど言ってしまったのは、訂正してくれたからよしとする。

わたしがからかわれていると思ったと伝えたから、配慮してくれたのでしょう。


「以前お仕えした、とある貴婦人に習いました。わたしはその方にいろいろと教えていただいたおかげで、こうして取り立てていただきました」

「そうですか。あなたの文章がうつくしいのは、手本がいいのと、あなたが努力したからなんでしょうね」

「……なんです、気味が悪い」


たいへんよいご婦人でしたと答えればよいところを、思わず悪態が口をついた。