真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇

窓の数が多いのは、やはり気持ちを明るくする。窓がない家では、薄暗い中、体を悪くしていく者が多いのだという。


わたしの夫が文筆に厳しいのは諦めがつかないけれど、別段おかしなことではない。


むしろ、嵩んでいく税金を逃れるために窓を塞がれなかったことは、幸運だった。


「分かりました。紙と窓への減税を、具申してみましょう」

「ありがとう存じます」


ほっと息をつくと、探るような間の後、メルバーン卿は控えめに口を開いた。


「……個人的なお話を、ありがとうございます」


やっぱりこのひとは、悪いひとではないのだわ。むしろ、誠実なひと。


「いいえ。お聞き苦しいものをお聞かせしてしまいました」

「いいえ。決してそんなことはありません」


私は今日、こうしてあなたを尋ねるように仰せつかって、あなたは、随分と女王陛下に信頼されているのだなと思っていました。


「お話を聞いて、あなたが信頼され、選ばれる理由が分かりました」

「わたしはあの方の薔薇です。それにふさわしくありたいとは、思います」


お互い紅茶を飲み干し、立ち上がる。


その拍子に、先ほど示したのもあってか、窓際に寄せた小さな机の上、乱雑に重なった紙束が目についたらしい。