真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇

「……メルバーン卿。やはり、訂正するわ」

「はい、なんでしょう」

「この後、みなさまへのご挨拶がたくさんあるの。不慣れなジュディスにはつらいかもしれないわ。隣でジュディスをエスコートしていただける?」


え、と隣を振り仰ぐと、ウィルは目を伏せて唇を結び、一拍置いて、深く腰を折った。


「私がご一緒してもよろしい場がございましたら」

「わたくしの薔薇の婚約者としても、メルバーン公爵家の名代としても、全てよろしくてよ。お父上はいらしていないのでしょう?」

「誠に恐れながら、父は領地におります。直々にお慶びを申し上げること叶わず、公爵家の名代として、父に代わり非礼をお詫び申し上げます」

「では、やはりよろしくてよ。お父上には、ご深慮に感心いたしましたと、よくよくお礼を申し上げて頂戴」

「かしこまりました。寛大なお言葉、ありがとうございます。必ず申し伝えます」

「では、あなたがわたくしの後ろに控え、ジュディスのそばにいることを、女王として許可します。挨拶回りが終わったら、もちろんジュディスを送ってくれるわね?」

「本日はわが公爵家より参りましたので、帰りもそのつもりでおりました」


えっ、そうなの? わたしは公爵家に帰るの?

このまま王城の私室に帰るんだとばかり。でもそうよね、わたしではこの衣装を綺麗に外せないし、髪やら何やらも一人では難しいし……。


しどろもどろになるわたしは放っておかれ、どんどん二人で話が進んでいる。