真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇

「いえ、わたしが、勅許の色がよいとわがままを言ったのです。この衣装でしたら、陛下がおそばにいらっしゃるような、励まされるような気持ちがしたものですから」


わたしたちが婚約するほど関係を進めているとご存知だったら、きっと陛下はご配慮くださった。

ウィルが気兼ねなく自分の色のドレスを贈れるよう、勅許はお出しにならなかったと思う。


「まあ、お上手だこと。……メルバーン卿、ごめんなさいね」

「いえ、私も勅許の色がよいと申しましたので」

「あら、そうなの?」

「ええ。勅許の色でしたら、長く着てもらえますでしょう」


ウィルが勇ましく笑った。


つまり、今後もわたしのドレスは、自分が贈ったこのドレスだという宣言である。陛下の顔を立てた、うまい言い方だわ。

わたしはウィルの、こういう言葉選びが好きだった。


「もう、あなたたちったら、二人とも口が達者なんだから」


陛下はころころ笑っている。


「さ、ジュディス、仕事に付き合ってもらうわよ」

「はい、陛下。おそばにおりますわ。よろしくお願いいたします」

「メルバーン卿、ごめんなさいね。あと少しだけ、ジュディスを貸してちょうだい」

「滅相もないことでございます。書簡卿はあなたさまの臣下なれば」

「もう、もっとわがままを言ってもよいのよ。ちょっと強引なくらいな方が、鈍いジュディスにはわかりやすいわ」

「えっ、陛下、なぜわたしに流れ弾が飛んできたんですか」

「ほらご覧なさい、この子はいつまで経ってもこうなんだから」

「お心遣いありがとうございます、陛下。ですが、ちょっと強引に誘った結果、二度踊りましたので。今日はこれで充分です」

「ウィ、ウィル……!?」


何を言っているの。なにを。


慌てるわたしを横目に、陛下がウィルを引き留める。