真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇

二曲目を踊り終わり、端に避けて、息を落ち着けて。


「……ウィル」

「なあに」

「陛下にご挨拶に行きたいの。ご一緒してくださる?」


婚約者として、改めて陛下に紹介したいという意味を正しく読み取って、ウィルが破顔した。


「もちろん」

「ありがとう」

「こちらこそありがとう」


陛下のもとに行くと、実に朗らかな笑顔でお待ちだった。


「ジュディス。そのドレス、よく似合っているわ」

「ありがとう存じます」

「あなたは真面目だから、きっと勅許の色にしてくれると思ったけれど……」


陛下がちらりと視線を動かした。


わたしの隣、ウィルを慮ってでしょうね。ウィルがドレスの贈り主だと、すっかりバレている。


「ジュディス、やっぱりあなた達ってそういう関係なの?」

「二度続けて踊るくらいには、親しくさせていただいておりますわ」


そう、と陛下が何度も頷く。


「ジュディス、メルバーン卿、おめでとう」


ありがとうございます、ありがとう存じます、と同時に返事をする。


「でもね、ジュディス。わたくしはいつでも着てよいと許しを与えたわけだから、今回は勅許の色でなくてもよかったのよ」


そうよね、ドレスを女性に贈るなら、普通は自分の色のものを贈るものね。

二人とも陛下の民、臣下だとはいえ、わたしのことも、わたしの婚約者のことも気にしてくださるなんて、陛下はほんとうにお優しいお方。