真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇

でも、そうよね。最近は周囲の相談に乗ることが減っていたんだわ。


「わたし、もう少しいろいろな方とお話しないといけませんね。自分だけで考えていたのでは、よいアイディアが浮かばないまま、煮詰まってしまうもの」


陛下にとっても、わたしにとっても、なるべく多くのものを吸収した方がよいのは確かだわ。たとえ難しくても、意欲は失わずにいなくっちゃ。


意気込むわたしに、ウィルは首を傾げた。


「評判を鑑みても、きみは充分上手くやっていると思うよ」


優しい言葉はありがたいけれど、わたしも首を傾げてしまう。


「そうかしら。わたし、自分の状況が目まぐるしく変わりすぎて、このままだと追いつくのに精一杯になってしまいそうで」

「目まぐるしくさせている一因は私にあるから、それは心苦しいな。ただ、よりよいものを陛下にと思う、仕事熱心なところも、きみの好きなところだから」

「ありがとう存じます。……ウィルは、わたしが執務室でみなさんのお話を伺ったら、気にするかしら」


以前いろいろと持ちかけられた相談は、色恋のものが多かった。大抵秘密にしたいと、お客さまは一人でいらっしゃる。


そして、わたしと一対一を望むのは、女性だけとは限らない。


共用の執務室であれば異性と二人きりでも問題なかったけれど、わたし個人の部屋になった今、口さがないひとがいるかもしれない。


好きなひとがいるのだから、密室で二人きりになるのは相手だって嫌だと思う。