真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇

「あら。ドレスをいただく意味くらい、わたしも存じておりますわ」

「贈らせてくれるんだな?」


言質を取ったとでも言いたげである。


「わたし、勅許に合わせたドレスと、あなたの色の靴が欲しいです」

「青地のたっぷりした裾のドレスと、薄茶の靴を贈るよ。ドレスの襟と袖と裾には白できみの紋章を刺繍する」

「あら、なんて完璧なのかしら」


くすりと笑って、目の前の人の、少し高い位置にある胸ポケットに触れた。


「あなたのポケットチーフには、わたしと同じ、金の薔薇を刺繍してくださいませんか」


白と青の組み合わせは、勅許によってしか許されない。だからお揃いにはできない。

わたしの色は平凡で、礼装にはあまり映えない。


でも、わたしの象徴たる薔薇は、布の隅くらいになら、居場所がある。


「揃いの薔薇を胸に刺そう」


胸ポケットに添えたこちらの手を、節の高い指がするりと掬った。


「公の場ではずっと、わたしは白と青のドレスでしょう」


……でも、いつか。


「いつか、私的な場で、あなたがくださったドレスを着たいわ」