「!?」
「――ハッ」

 一体何が起こったのだろうか。

 あまりの事態に、暫く時が止まったかのようにお互いに目を見合わせる。

 そして、震える私に向かって、急に立ち上がったステファニーは叫んだ。

「ぜっ、全部ミッチーが悪いんですわ!」

 ど、どういうことだ。私は何をしたんだ。

「全部全部、ミッチーが悪いんですわ! わ、わたくしに悪戯したのはミッチーなのに、そんな陵辱された乙女みたいに! 悪戯をした犯人なのに、そんな真っ赤になって『くっ殺せ……っ』みたいな顔をするなんて、卑怯ですわ! 絶対に許しませんわ!!」

 ステファニーは素早く扉のところまで走っていく。

「全部煽ったミッチーが悪いんですからね! わたくしはっ、わたくしは絶対許しません! 許してませんから! ミッチーの馬鹿!!!」

 そう言って、真っ赤になって髪を振り乱した彼女は、部屋の外に走り去ってしまった。


 一体、何が起こったのだ。


 私は、ズレたメガネを直すこともできず、呆然と扉を見つめていた。


 そして、そこから私とステファニーは、ほとんど口を利かなくなったのだ。