「牛すじ肉の煮込みでございます」

 結婚休暇6日目。
 私は、今日も実家で昼食を摂っていた。
 かつて自分の部屋だった場所で、一人でだ。


 私はステファニーがこのマクマホン侯爵家本邸に来てから毎日、彼女に会いに本邸に通っている。

 しかし、まだ一度も会ってもらえていない。

 両親や妹、弟達にもそれとなく彼女の様子を尋ねたけれども、皆一様に私に冷たい目を向けるだけで、彼女の様子を教えてくれない。まあ、勝手に覗き見はしているが……。
 昼食は家族の情けで出してくれるけれども、ステファニーが安心して食事を摂れるようにと食堂は立ち入り禁止を言い渡されているので、私は毎日一人で旧自室で昼食を摂っているのだ。
 なお、夕食は諦めて別邸で摂っている。