チュンチュンと鳥の声が聞こえて、私はようやく目を覚ます。


 ベッドの上でぼんやりしながら、隣をふと見て誰もいないことを確認し、ぽっかりと胸に穴が空いたような虚しさを感じる。

 その後、枕元に積み上がった本を見て、ため息をついた。




 ステファニーを追いかけて本邸に向かった昨日、私はあれからステファニーに会うことはできなかった。
 そして、散々母と妹二人から詰られた。

 それはまだいい。私が悪いのだから。


 問題はその後だ。
 私は妹二人から、数冊の本を渡されたのだ。


「ほら、今直ぐこれを読んで」

 その本は、どれも薄くて読みやすそうな文体の大衆向け娯楽小説だ。


 そして、タイトルが異様だった。


『初夜に【君を愛することはない】と言われたので、復讐することにしました』

『初夜に【君を愛することはない】と言われたので喜んでいたら、それを言った当の本人が狼狽えています』

『初夜に【君を愛することはない】と言われたので、流行りの初夜離縁しました。全く、そういう大事なことはもっと早く言いなさい』

『初夜に【君を愛することはない】と言われたので驚いた瞬間、精神魔法をかけられました。夫が敵国のスパイだなんて聞いてません!』


「な、なんだこれは……」