「マイケル君」

 頭が上がらない私に、背後から声がかかる。

 血の気が引く思いで後ろを振り向くと、やはりというか、スマイル侯爵が立っていた。
 隣には侯爵夫人もいる。

「ス、スマイル侯爵、この度は……」

「この度はバカ息子が、本当に申し訳ない!」
「せっかく嫁いで下さった娘さんを傷つけて、なんと言ったら良いか……本当に申し訳ありません!!」

 私の言葉を遮るように、父と母が頭を下げて謝罪している。
 私も負けじと慌てて謝罪をしたが、スマイル侯爵は穏やかな声で応えてくれた。

「うん、そうだね。可愛い娘が新婚初日から泣いているのは、親として正直、思うところはある」
「……! 申し訳ございません……」
「でもね、私達が怒るということは、この結婚は終わりということだ。まだ結婚初日だ。まだ若いことだし、少しばかりお互いに時間をかけて、今後どうするか考えた方がいいと思うんだ」

 スマイル侯爵の言葉に、私は頭が上がらない。