「ステファニー、昨日の発言は取り消す! 私は君を愛しているのかは自分でも分からないが、君を愛する努力をする! だから……」
「10年以上一緒にいて、だめだったのに?」

 その諦めた声音に、私は息を呑む。

「やはり一度実家に帰ります。わたくしが戻るまでに、離縁か白い結婚か愛人か、決めておいてくださいませ」

 そう言うと、夜のうちに荷造りを済ませていたらしいステファニーは、そのまま荷物を持って部屋を出て行ってしまった。

「ステファニー! 待て、ステファニー!」


 私の叫びは、彼女に届かなかった。


 こうして彼女は新婚生活初日に、白い結婚のまま実家に帰るために出て行ってしまったのである。


 そして、鞭でぐるぐる巻きにされたままだった私は、一時間後に執事とメイド長に救出された。

 なんでもっと早く助けにこなかったのかと二人に聞くと、執事もメイド長も、困ったような戸惑ったような顔をしていた。

 なにやら、しばらくそのままにしておいた方が悦ぶから放置しなさいという、ステファニーの指示があったらしい。


 ステファニー!!