「人づてに聞いた世界しか知らないんだ。それに、俺みたいな人間はずる賢くないと生きていけない」
「…」
刑務所がどんな場所なのか、わたしには分からない。
けれど、悪い人が罰を受ける場所だから、きっと楽しかったり、幸せな場所ではないんだと思う。
その前だって、普通に学校に行ったりすることもできずに、人から隠れて生きて…。
弥斗さんって、わたしが想像もできないくらい、大変な人生を送ってきたんだ。
きっと、これからも。
「…」
「…詩伊?どうして泣いて…」
つぅ、とほっぺに涙が滴り落ちる。
弥斗さんは驚いた顔をしてスプーンを置き、わたしの隣に回り込んできた。
「ご、ごめんなさい…どれだけ辛かったんだろうって思ったら、涙、出ちゃって…っ」



