「春風、生吹……」



復唱したお父さんの頭の中で「どこかで聞いたことのある名前だ」と、フル回転で記憶を探る。

そしてその名前が、街どころか全国を牛耳る若者の名だと、瞬時に思い出した。



「君が、どうしてここに……？」

「可愛い後輩が、先輩をたてにやってきたんですよ。まぁ、それはいいとして。

お話ししましょう、ここから先はビジネスの話です。

俺は様々な事を知っていますよ？　顔がきくから、色んなパイプもある。とある事件をきっかけに、海外とも繋がってます。この情報網はきっとお役に立つと思います」

「……」



お父さんは、春風さんを見る。次に、春風さんが連れているひかりへ目をやった。



「その情報を、みすみすコチラに渡すとは思えない。こんな子供をここに寄こしたのが、何よりの証拠だ。何を企んでいる？」