「今私すごく汚れてるんで近づかない方がいいと思います」
誰のせいで、という部分は飲み込んだ。
その代わり、怨めしそうな視線を向ける。

けれど一樹はそんなこと気がつく様子もなく「あぁ、そうだったね」と、笑った。

「それならシャワーを浴びておいで。着替えは俺の服でいいかな?」

お風呂のドアを指差して言われて優莉奈の心臓がドクンッと跳ねる。
とりあえずメインの部屋は綺麗になったし、これからお風呂に入るというとは、そういうことだろうか?

ニコニコと微笑んでいる一樹を見ても、その心の奥まではわからない。
汗もかいたし、お風呂を貸してもらえることは、とりあえず嬉しい。

「そ、そうさせてもらいます」
妙に意識してしまう前に優莉奈は脱衣所へと急いだ。

部屋に呼ばれたときからいくらか覚悟を決めていたものの、ずっと掃除をしていたから今日はもうそういう雰囲気にはならないだろうと思っていた。