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1時間くらい居酒屋で飲み食いするとさすがにお腹がいっぱいになっていた。
外へ出ると夜風が心地よく体温を下げてくれる。

火照った頬が徐々に普段の体温を取り戻していき、優莉奈はホッと息を吐き出した。

「今日は満点の星空だね」
一樹に言われて見上げてみれば、高いビルの間の小さな空には星がまたたいている。

「綺麗!」
思わず声を上げる。
都会へ出てきてからこうして夜空を見上げることは少なくなった。

一樹が教えてくれなければ、気がつくこともなかっただろう。
「もっと高い場所から見ると綺麗だよ」

言いながら、一樹は当たり前のように優莉奈の手を握りしめてきた。
優莉奈の心臓がドクンッと跳ねる。

「スカイツリーとか?」
「俺の部屋とか」