「マイちゃん、こんな顔で彼氏と会うの?」
その問いかけにマイちゃんは完全に覚醒した。

ハッと目を見開くと鏡の中自分の姿をマジマジと見つめる。
すると「ギャアア!!」と化け物でも目撃したかのような悲鳴を上げて、化粧ポーチをむんずと掴むと女子トイレへと走っていった。

嵐のようなマイちゃんが去って、周囲に静けさが戻ってくる。
「……帰ろうか」

俊介がポツリと呟く。
「そうだね」

優莉奈はコクンとうなずいたのだった。