グレーのスーツに身を包んだ俊介の姿はあの幼い頃の俊介とはまるで別人のようだ。
自分だって事務員の制服を着てパソコンを叩いていればまぁまぁ様になっていると思うけれど、つい相手のことをジロジロと見てしまう。

「おはよう?」
ジロジロ見られている当人が首を傾げながら隣の席に座る。

「お、おはよう」
「先輩ったら緊張しちゃって。やっぱりそういう雰囲気になったんですかぁ?」

マイちゃんが顔を寄せて小声で質問してくる。
いくら小さな声でもこの距離では本人にまで聞こえてしまう。

慌てて止めようとしたけれど、遅かった。