揶揄混じりの言葉になにも返せなくなってしまう。
彼女たちからすれば集団になるからこそ一樹に声をかけることができるんだろう。

だけど一樹からすれば、その行動は本気で好きな相手にするものじゃないという認識があるのかもしれない。
カッコイイ人にはカッコイイ人なりの悩みがあるものなのだと、優莉奈は改めて感じた。

そして何気なく俊介に視線を向けると、すっかり酔っ払った梓が俊介の肩に頭を載せて寝息を立てている。
俊介は梓を起こさないように静かに飲んでいた。

なんだかんだ言って悪い気はしていないんだろう。
今年25歳になる梓は色気がある美人系だ。

男性社員からの人気も高いし、こうして密着されて嫌な気になる人はいないだろう。
「わかりました」

視線を一樹に戻すと同時に優莉奈は言った。
「お食事、行きましょう」