初恋婚〜幼馴染のエリート同期と離れられなくなりました~

でも、どうして谷川を見てこんな気持になるのかわからなかった。
必死で自分の心の内側を探ってみるけれど、思い当たるところがない。
「もしかして、優莉奈ちゃん?」

突然ちゃん付けで谷川に呼ばれて動揺してしまった。
優莉奈は激しくむせてレモンサワーを流し込む。

「どうして、私の名前を……?」
「僕だよ、俊介だよ!!」

優莉奈の名前を呼んで本人だと確信したのか、谷川は前のめりになった。
「俊介……?」

その名前には聞き覚えがあった。
どこか遠い昔。

自分がここではない、地方で暮らしていたときのこと。
小さなもみじのような手。

トテトテと歩く足音。
「あ……俊介くん!?」