そんなこと関係ないくらい楽しかったのは私だけ?
大ちゃんは違ったの?

「ずっと……」
ようやく、言葉が口に出た。

話そうとすれば涙も一緒に出てきそうで苦しいけれど、絞り出す。
「ずっと、そんな風に思ってたの?」

私への劣等感を抱えて付き合ってきたの?
あとの言葉は声にならなかったけれど、大ちゃんは小さく頷いた。

そしてまた「勝手でごめん」と呟くように言う。
優莉奈の目にブワリと涙が浮かんできたけれど、力を込めてこぼれないようにした。

変わりに勢いをつけて立ち上がると、テーブルの上のグラスを持ち大ちゃんの頭ので白ワインをぶちまけた。

「それなら……それならこんなところに連れてこないでよ。3年目の記念日に期待させないで!」

優莉奈はそう言い放つと、大股でレストランを後にしたのだった。